1940〜50年代の映画界のディーヴァたちに着想を得た新コレクション『ミラージュ』。アントニオ リーヴァ ミラノは、女性らしさの多様なニュアンスを探求し続けています。タオルミーナで初披露された本コレクションは、ビジョンとスタイルの両面において完成されたプロジェクトの正式な幕開けを告げます。
ジャケット「Tess」、パンツ「Alissa」― ミラージュ コレクション
それぞれのクリエーションは、自由で、エレガントで、そして真の自分を生きる女性を映し出します。人工的なものに頼らずとも放たれるその魅力は、まるで掴みどころのない記憶のように彼女を包み込みます。正確であり、意志が強く、けれどもどこか儚く逃れていく。仕草やディテールの中に、まだ明かされていない物語がそっと潜んでいるのです。
可視と不可視のあわいに漂うその存在感こそが、「ミラージュ」のかたちを結びます。物語の源は、20世紀半ばの映画界を彩ったヒロインたち。気品あふれる立ち居振る舞いでありながら、決して凡庸ではなく、自らの手で運命を綴る女性たち。彼女たちは単なる存在ではなく、いつ現れ、いつ身を隠すかを自ら選ぶアイコンでした。
同じように、ひとつひとつのドレスもまた、コントラストの中に生まれます。厳格さとやわらかさ、透け感と奥行き、静寂と感情。その狭間に「ミラージュ」が宿ります。
ドレス「Salomé」(左)、ドレス「Madelaine」(右) ― ミラージュ コレクション
パレットはブラック、ロゼ、インディゴへと広がり、それぞれが響き合いながら常に異なる感覚を呼び起こします。生地はそのニュアンスを引き立てます。繊細で軽やかなオーガンザ、艶やかなサテン、シルエットを優しく包み込み、女性らしいフォルムを際立たせるトーン・オン・トーンの刺繍。
クラフツマンシップは、メゾンにとって常に中心的な存在です。ミラージュでは、重なり合うボリューム、彫刻のように刻まれたドレープ、そしてテーラードラインの中に、その卓越性が輝きを放ちます。その卓越性は視覚だけでなく、動きの中からも感じ取れます。一歩ごとに、異なる瞬間を描き出し、物語っているかのようです。
ラインは、過剰さのない官能性と、堅苦しさのない洗練を兼ね備えています。そこには、相反する要素をあわせ持つ女性像が映し出されています――繊細さと決意、優しさと強さ。
モニーク ドレス(左)、ヴェラ ドレス(右) ― ミラージュ コレクション
このコレクションを通じて、アントニオ リーヴァ ミラノは、決して一つの形に還元されない、複雑で多面的な女性像を描き続けています。ミラージュにおいて、ブランドはイタリア・オートクチュールのビジョンを再び提示します――それは進化し続ける言語であり、素材、ディテール、そして感情を通じて語りかけるものです。
発想から最後の縫い目に至るまで、すべてのクリエーションには、クラフツマンシップ、コンテンポラリーな感性、そして女性という宇宙への愛を自身のシグネチャーとするクチュリエのまなざしと手跡が刻まれています。
ニナ ドレス ― ミラージュ コレクション